僕の友達にちょっと、いや、だいぶ変わったやつがいる。
名前は佐々木(仮名)
本人はいたって普通の人物と思っているらしいが、とてもじゃないがこいつの事を普通、
とは言えないだろう。
何が普通じゃないかって言うと……。 例えば、こいつと街を歩いてたとしよう。
もちろん僕達の他にも周りにはたくさんの人が歩いている。
そんな中で、佐々木はふと立ち止まる。
「おい、どうした?」
あまりにも急に立ち止まるので、何か大切な事でも思い出したのか、それとも、何かを
落としてしまったのか、と思い、声をかけてみると、
「なあ、もし道の真ん中にカメのこたわしが落ちてたら、どうする?」
「……?」
「それで、そのたわしが、すごい勢いで走り去ってったら、どうする?」
「い、いや、どうするって言われても……」
「そうだよな、たわしだもんな、そりゃ、困るよな……。じゃあ、マックでも食いに行く
か」
話が突飛過ぎるだけならまだしも、突然話を変えてくるからなおさら困る。
しかも、言うだけ言って、一人先にすたすたと歩いていってしまうのだ。
取り残された僕は、周りの人達の笑いに満ちた眼差しを受けながら、その場に呆然と立
ちすくんでしまう……。
また、こんな事もあった。
ある日曜の事である。
何もする気が起きなくて公園でボケっとしてたら、(恐らく)偶然にも佐々木がやって
きて僕の横へと並び、突然、
「なあ、あそこにイヌの散歩してる人、いるよな」
佐々木の視線の先には確かにイヌ、ハスキー犬を散歩している若い女性がいる。
この女性、なかなかの美人だ。
と、言う事は、だ。この後に続く会話と言えば、
『あの子、可愛いよな』
とか、
『俺、ああいう子、好みだな』
とか、そう言ったものだろう。
だから、
(ああ、やっと、佐々木も普通の男性らしい会話が出きるようになったんだ)
なんて思ったりして、言葉の続きを待っていると、
「もしあのイヌがツッコミいれてきたら、どうする? しかも、大阪弁でツッコんでくる
んだぞ!」
何故かはわからないが、佐々木は興奮した感じでそう言ってきた。
可愛いとか言う事で興奮するのならまだわかるが、どうしてそんな事で興奮するんだ?
「それに、あの肉球ぷりぷりな前足で、ペシッ! とかやるんだぞ、ほんと、どうするよ!」
どうするもこうするも、そんな事ありえるわけが無い。が、佐々木の妄想(?)は果て
しなく広がってゆく。
「まあ、俺だったら逆に突っ込み入れてやるね。ベタだけど、『お前、イヌやろ!』 と
か、『まだ、ボケかましてないって!』とかな」
そして、言いたい事を全て言い終えると、また何事も無かったかのようにどこかへと行
ってしまった……。
まあ、想像力があることは良い事だし、それで人に迷惑をかけているわけじゃないから、
いいんだろうけど……。
どうして僕はこいつと友達をやっていられるのか?
最近不思議でしょうがないんだな、これが。
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