
むかしむかし、あるところに働き者のウサギさんと、怠け者のカメさんがいました。
たいへん仲の良い二人ではありましたが、ある日、ふとした事がきっかけでこの二人、けんかをしてしいました。
カメ「おまえな、いつもいつも働いてばっかりで、うざいんだよ!」
ウサギ「そういうあなたこそ全く働かないで、見てるこっちがいらつくって感じ」
カメ「働かないのは勝手だろ。おれは働かなくても食ってけるからいいんだよ!」
ウサギ「だったら、私が働いてるのも勝手でしょ。それにね、そんな考えしてると何時か大変な事になるよ」
……とまあ、こんな感じで二人はけんかしてしまったわけです。
そんなこんなで、一時間が過ぎ、二時間が過ぎ、三時間、四時間……、と、しょうも無いぐらいに時間が過ぎていきますと、さすがに二人とも疲れが見え始めてきます。
カメ「……こんな事言い合ってても、時間の無駄だ」
ウサギ「……、まったくね」
カメ「で、どうだ、ここは一つ賭けで勝負を決めないか?」
あまり賭け事の好きではないウサギさんではありましたが、このまま無意味に時間を消費するのも、働き者としては許しておけません。
ウサギ「……わかった。のりましょ。で、何で勝負つける?」
カメ「かけっこ」
足に自信のあるカメさんと、全く足には自信のないウサギさん。とはいっても、所詮カメはカメ、ウサギさんは内心、
(この勝負、もらった!)
と、ほくそえんでおりました。
ウサギ「いいわよ、それで勝負しましょう」
カメ「勝った方の主張が正しいと言う事で、いいな?」
こうして、ウサギさんとカメさんはかけっこ勝負をする事となったのでした。
さて、その時偶然通りかかったのが、めちゃくちゃ足の速いシカさん。
カメ「お、ちょうど良いところに来た。シカ、俺達の勝負の見届け人になってくれないか?」
これまでのいきさつをざっと話し、シカさんに協力を求めるカメさん。
シカ「え〜、めんどくさいなぁ……」
と、めんどくさがりはしたものの、カメさんウサギさんの熱心な説得の甲斐あって、ついには引き受けるシカさんでありました。
シカ「じゃあ、いくよ。よ〜イ、どん!」
しかさんの合図とともに、ダッシュするウサギさんとカメさん。
おおかたの予想を裏切り、めちゃくちゃ足の速いカメさん。
ウサギさんとの距離が、一メ−トル、二メ−トルと、どんどん離れていきます。
まあ、一番速いのはシカさんでしたが。
シカさんは、『どん!』 と言った瞬間には、もう見えなくなってしまっていました。
さて、ウサギさんはと言うと、少しばかりあせっています。
所詮はカメ、と思っていたのですが、その足はウサギさんのそれよりも格段に速いのですから、あせらないでいられるわけがありませんね。
どうにか勝つ方法を、と考えてはみるのですが、なにも思い浮かびません。
そうこうしているうちに、山のてっぺんにたどり着いてしまったのでした。
もちろんそこには先に到着していたシカさんとカメさんがいます。
シカ「では、ウサギさんの負け、と言う事で」
シカさんの無常な一言がウサギさんの胸に突き刺さります。
カメ「な、ヤッパリ俺が正しいんだよ」
カメさんの言葉が、ウサギさんを絶望のふちへと追い込みます。
カメ「じゃ、そういうことで、俺の勝ち、と」
そして、カメさんとシカさんは、いっしょに山を降りていくのでした。
……さて、一人取り残されたウサギさん。
涙を流しながら、こう思うのでありました。
「怠け者のカメさんが勝つんだったら……、努力なんてするもんじゃないなぁ……」その後ウサギさんがどうなったかと言えば……
立派にカメさんと遊んで暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
……か?
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