英米児童文学の雑感 Dear Anne and her friends・・・

Aug.18 2002:動物は愛護するのか、食するのか

うわ、更新がものすごくご無沙汰になってしまった・・・^^;
2月に復刊した岩波文庫の「スイスのロビンソン」を読み終えた。世界名作劇場の「ふしぎな島のフローネ」の原作。
♪潮風を頬に受け はだしで駈けてく〜って主題歌のアレです。
読んでびっくり!フローネが出てこない(笑)。アニメでお医者さんだったお父さんは職業不詳だし、フランツ、フローネ、
ジャックの3兄妹は、しっかりして行動派のフリッツ、理屈屋でこずるいエルンスト、猪突猛進で実際家のジャック、
末っ子なので活躍の場のないフランツの4兄弟だった。
確か、フローネたちはスイスから医者を必要とするオーストラリアかどっかへ移住すべく、船に乗り込んだのだが、
原作はいきなり難破船である。で、結構あっさり無人島で暮らし始め、いつのまにやら10年が過ぎ・・・、と言った話。
この家族は島での暮らしが気に入ったらしく、積極的に助けの船を捜そうとしない。とにかく、ここに住み着くつもりで
家を作ったり、作物を育てたり、家畜を世話したりするのである。
まぁ、それはいいんだけど、やたらめったら、近くを通る動物を撃ちまくる。で、その解体の描写がえらく細かい。
子供である兄弟も、もう目を輝かせてさっさと処理していく。
最低限生きていくために必要な動物を殺したり、危害を加えそうな獣を退治する、というのは勿論必要だ。
だけど普通に生きてる動物を試しに撃って見たり、手なずけるために親を殺したり、ってのはちょっと・・・。
生ぬるい生活をしている日本人であるわたしには結構キツかった。この家族、ペットとして犬飼ってたりしてるけど、
それはもっぱら愛護というよりは番をさせるため、狩猟に役立つから、で、徹底的に人間中心。
やっぱり西欧の狩猟民族は違うな〜。あ、わたしは動物は苦手です。可愛がろうという気持ちもないけど、
虐待する気もない。(というより虐待できるほど近くに寄れない。怖くて・・・。(笑))

 

Feb.11 2002: 元祖「家入り努力小説」

というわけで「家なき娘」読了しました。「ペリーヌ物語」としてのアニメと、abstractでしか知らなかったので、
ものすごく新鮮。そっか〜「バロン」はアニメで作られたキャラだったのね〜。(笑)
あとびっくりしたのは、この文章。「さうして二十七、八歳を超えてはゐないのに壊血病の最終期にあつたのである。」
ちなみにペリーヌについては「十二、三歳の少女」とあります。・・・もー、ペリーヌのお父さんたら!(笑)
ところで「家なき娘」って同じ作者の「家なき児」と比較されることが多いと思うのですが、
話的には「小公子」とかぶるんじゃないでしょうか?どちらも貧しい暮らしを経て、
頑固なお金持ちのおじいさまに受け入れられるっていう・・・(おまけに社会改革にまで手を出している!)。
冒険よりも「家」に入ることを目的とした分野には「アン」や「レベッカ」、「パレアナ」なんかも入るんですが、
先ごろ亡くなられた児童文学者の上野瞭氏はこの手の作品を「
家入り努力小説」としておられます。
だけど「小公子」のセドリックの言動にはどこかむかつく、というか、あまりの天真爛漫さに時々耐えられなくなるんですが、
ペリーヌに関しては、そのけなげさ、賢さ、つつましさにただただ感動。これはやっぱり物語の運び方に差があるのでは?
「小公子」のセディは別に「努力」しないから。しなくても「おじいさま」=「家」に入ってるから。(それが歓迎されてるかと言えば
ちょっとちがうけど。)ペリーヌは「家入り」にあたって、名前を変えて、おじいさまの工場で働くことから始めます。
しかも、最初はトロッコ押し、そのあと、通訳、秘書、と段々グレードがあがってくとこなんか、OLの出世物語みたいで
ほんと、「努力」が報われる話だ。こんなところも、何にもしなくても皆に愛されるセディとはちがうでしょ。
だから、最後のおじいさまとの対面シーンの感動や、工場で働く人々の生活を向上させようとする姿勢に
共感できるんだと思います。

Feb.2 2002:一切れのパン

と言っても「レ・ミゼラブル」のジャンヴァルジャンじゃなくって・・・。
児童文学の「ひもじい」シーンで印象に残ってる本をご紹介しようかなと思ったのでした。
子供の頃はアニメ「世界名作劇場」にどっぷり浸ったものですが、最近復古趣味で
「ペリーヌ物語」の原作「家なき娘」を購入して、ヒロイン・ペリーヌのあまりの「腹のすきっぷり」描写に
涙してしまった。(T_T)
彼女は最初の一切れを餓鬼のやうにして平らげ、次の一切れはちよつと噛るだけにして
残さうと思つた、がこれも同様にがつがつして呑みこみ、第三のものも、どんなにか止さうと思つたけれど
こらへきれず、第二のものの後を追うた。
」(「家なき娘」津田穣訳 岩波文庫(p.95))
アニメだとペリーヌの可憐さに負けてここまですさまじい飢えは伝わらなかった気がする。これが「文章の力」ですね。
ちなみにこのシーンで思い出したのは、同じく「名劇」シリーズ「小公女」です。ただし、セーラじゃなくって
ほんとの「家なき娘」な女の子なんですが。この子はセーラに恵んでもらったパンをがっつくんだけど、
話の視点は完全にセーラだから、「そして、いそいてぶどうパンをとって、おおかみのように
がつがつと、口の中におしこんだ。
」(「小公女」川端康成/野上彰訳 角川文庫(p.183))とあるだけで、
心情には触れません。ところがペリーヌはこの後、「こんな意思の弱さ、こんな動物的衝動を未だ嘗て経験したことがなかつた。
少女は自分のしたことが恥かしかつた。
」といじらしくも反省しちゃう。このあたり、ものすごくリアルな気がします。
この時点でペリーヌは孤児ですが、それまではお父さんがいてお母さんがいて、当たり前に普通の生活をしていた
わけで、最初からこんな生活をしていたわけじゃない。ところが旅の途中で両親と死に別れ、状況が暗転するんですね。
だから恐らく最初からロンドンの片隅で乞食のように暮らしてきた女の子と違って、自分の境遇の変わりように驚く
だけの経験値があるというか・・・。そのあたりが、この一文に集約されてる気がします。やっぱ、作家ってすごいっす。

Dec.1 2001:おじいさんがいる風景

クリスマス間近といえば、「アン」の世界での記号論的に言えばあの「膨らんだ袖」のドレス!
見立てて仕立てあげたのはリンドのおばさんだから、マシュウのセンスが良いわけではない。
しかし、服を買ってあげなくちゃと気付いた点では、「マシュウってばいいセンスしてるぅ」と褒めてもいいだろう。
さて、アンに限らず「老人とこども」の世界は、非常に居心地がいい。
しかも、女同士ではだめなのだ。ここは必ず「おじいちゃんと少女」でなければ。
(ちなみに「おじいちゃんと少年」だと「フランダースの犬」になってしまって、
悲しいクリスマスになってしまうので、要注意。)
ハイジとおじいさん、レベッカとコブさん、ベスとローレンスさん、などなど。
これがおじさまと少女になってしまうと、少々キケンがともなうが、
おじいさんの場合、相互に何の見返りもないから安心してみてられる。
おばあさんと少女では、お互い同性と言うことがあって、伝承しなければならないモノやら
しがらみやらを背負うので、キツイし。
モンゴメリに限って言えば、長く生きた祖母から受けた制約のある生活を送らされたせいなのか、
どうしても同性である一家の女主人を厳しく描きがち。「丘の家のジェーン」のおばあさまなんか
ほんとこわいです。「アンの幸福」にでてきたエリザベスと彼女のおばあさんとの関係もシャープだし。
「ハイジ」のクララのおばあさまは素敵でしたね、珍しく。

Nov.23 2001グリーンゲイブルズのアン
 ちょうど去年の今頃、TVK(テレビ神奈川)でアニメ「赤毛のアン」再放送が放映されていたっけ。
何度観ても名作は名作。ビデオに撮っておきたかったんだけど、
TVKの映りが悪くて断念。
誰か
DVD買ってください。(笑)
 ところで、最近子どもの「虐待問題」関連の本を読んでいて気が付いた。虐待を受けた子どもを一時的に
預かる形の里親・里子制度っていうのがありますが、アンって、カスバート家の養子(女)じゃないんですね。
もともと、マシュウとマリラは手伝いの男の子を雇う(でも教育はちゃんと受けさせる)つもりで引き取ったわけで、
グリーンゲイブルスの跡継ぎを望んでたわけじゃない。アンは法的にカスバート家に入った養女じゃなくって
「一時的に預かってもらってる」里子なわけだ。
だから、カスバート家が金銭的に苦しくなったときだって、なんら影響を受ける立場じゃなかった。
マリラだって「大学へお行き」って言ってたもんね。それはこういう訳だったんだ。
そこを「あたしだってグリーンゲイブルスを愛してるんですもの」って言って、あえて同じ責務を負おうとしたアンって
やっぱえらいなぁ。
 「赤毛のアン」のあらすじってよく「孤児院から養女になった」って書いてあるのが多いけど、
養女と里子じゃえらく違うんですよね。
「赤毛のアン」って原題「グリーンゲイブルズのアン」っていうんだけど、深読みすると、
「グリーンゲイブルズに住んでるけど、法的にカスバート家の一員じゃないアン・シャーリー」ともとれますね。

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