こあら文学


●下記の【コアラのク―プ・ブ―ア】コアラのク―ル・ブル―】は、

ロ―ランド・ロビンソンの『アボリジナルの神話と伝説に関する本』

のなかのビクトリア州の部族から採ったお話です。

@【コアラのク―プ・ブ―ア】

コアラのク―プ・ブ―アは、むかし小さな男の子だった。父親も母親も彼が四つの時に死んでしまい、

部族のあいだで育てられたが、彼らはこの子につめたかった。ある日、日照りが起こって、喉の渇いた

ク―プ・ブ―アは、水が欲しいと言ったが、誰もくれない。部族の連中が水入れを残して

狩りに出かけると、その子はひとつ仕返しをしてやれとばかり、小川の水を全部汲んで

水入れに満たし、それを持って木に登った。するとその木は急に高く伸びていったんだ。

部族の者たちはすっかり喉を渇かせてキャンプに帰ってくるとク―プ・ブ―アに水をくれと頼んだ。

けれど彼は『あんないじわるをしておいて、いまさらなんだ』とやり返した。

男達が一人ずつ木に登ろうとしたが、ク―プ・ブ―アが少しずつ水をたらしたので、木をつかんでいた

手が滑って木から落ちて死んでしまったんだ。それでも結局、ク―プ・ブ―アは捕まえられ、

地面に投げ落とされた上に、こっぴどくぶたれた。死にはしなかったけれど

コアラになってしまったんだ。

ク―プ・ブ―アが登っていた木が切り倒されると、切り口から水が湧き出て、

干上がった小川に流れ込み以後流れはいつも絶える事がなかった。

コアラのク―プ・ブ―アは部族の者がずるい事をしたら、また水を止めてやろうと終始、川岸や泉の

そばにまちかまえている。そこで部族のなかできまりが作られ、以後はコアラを料理するときは

皮をはがさないですること、コアラを殺す時は骨を折らない事になった。ク―プ・ブ―アが座っている

木に人間が登ると、ク―プ・ブ―アはいつも、男の子だったころに水を盗んだといって追われ、

捕らえられた時と同じ鳴き声を上げるんだ。

@【コアラのク―プ・ブ―ア】に似た話がオ―ストラリア・アボリジニの伝説・ドリ―ムタイム・

(ジ―ン・A・エリス:著/ 森秀樹:監修/国分寺翻訳研究会:訳出版社:大修館書店)に載っています。 

昔、ク―ポルという名前の孤児の少年がいた。アボリジニは、昔から伝統的に部族的に部族の子供達を、

可愛がり守ってきたものだが、いたいけな少年クボ―ルの親族はこの習わしに従わなかった。

ク―ポルは全く可愛がってもらえないこともたびたびだった。

ある時、とても深刻な干ばつが起こり、部族の掟で、少ない水はできる限り平等に分け合う決まりになった。

けれども少年ク―ポルは、自分の取り分さえ親族に取上げられてしまった。

或日、狩りの儀式が行われた。部族の誰もがキャンプを離れ、その儀式に出席することになっていたが、

ク―ポルは酷く衰弱していたので出掛けられなかった。身内はク―ポルが苦しんでいることなど眼中に

無かったので、彼は一人取り残されてしまった。身内連中は、ク―ポルが弱り果てて寝床から起き上がる事も

出来ないと思い水入れを隠そうさえしなかった。自分達が帰ってくるまでにはク―ポルがもう死んでいるだろ

うと、気にもしなかった。ところがク―ポルは強い心を持った少年で、死ぬつもりなど毛頭なかった。

皆が出掛けて行って見えなくなると直ぐに、何とか起きあがり、水入れまで這って行き、ゆっくりと冷たい水を

飲んだ。たちまち彼はほんの少し強くなったような気がした。

ク―ポルは元気を取りもどし、これから二度と喉が渇いて苦しむ事が無いような方法を思いついた。

木の皮でできた水入れを、まずク―ポルの身内から部族の他の人たちのものまで残らず集めた。そして

いくつかは近くのユ―カリの木の二股に分かれているところに置き、残りは低い枝に吊り下げた。それから

ク―ポルは自分も木に登っていった。木の上でク―ポルは静かに座り、昔、教わった不思議な魔法の歌を

歌った。その歌には不思議な強い力があり、木はゆっくりとぐんぐん伸び始めたのだ。

ク―ポルが歌うにつれ、木はますます大きくなり、とうとう他のどの木よりも高く聳えた。

その夜、ク―ポルの身内や他の部族の人達が戻ってくると、突然大きくなった木を見て仰天した。そして

ク―ポルが皆の大切な水を残らず持って、その木の上の届かないところまで登っているいることがわかり、

困ってしまった。「下りて来い!下りて来い!」皆は叫んだ。「喉が渇いているんだ。水を返せ!」けれども

ク―ポルは聞こえないふりをした。数人の男たちがその木に登ろうとしたが、高すぎて無理だった。

 

                 

 

 

 

 

A【コアラのク―ル・ブル―】

コアラのク―プ・ブ―アが、ワトルのやにと水の混じった物を飲んでいる男達に出会い少しわけてくれと

頼む、男達はそんなになまけていないで木に登って自分でとれという。

怒ったコアラは男達の水袋を盗み、またぞろ追跡が始まる。とうとう男達はコアラに忍び寄る方法を

考え付いた。それは二人で木に登って木の両側から同時に近つ゛くというものだ。これを何

度も練習して、ついにものにしてしまう。ク―ル・ブル―は逃れようと上へ上へと登って行ったが

とうとう捕まえられて殺されてしまった。

 

 

 

●A・W・リ―ド著の『アボリジナルの伝説・動物の話』

(Aboriginal Legends Animal Tales)のなかにコアラの話が

ありますが大きく2つに分類できます

@【第1のグル―プ】(人間がどのようにして海を渡ってオ―ストラリアにやってきたかについて語ったもの)

父親と言い争いをした男の子はコアラの死体を拾い上げ、切り開いて腸を取り出す。ご存知

のように、コアラの腸が異常に長い、男の子が風船のように膨らませていると、とうとう男の子

の住んでいる島から新しい陸地オ-ストラリアにかかる橋になってしまう。いったん人が渡ると

橋は虹になる。いたずらな男の子はどうしたかって?当然ながらコアラになったわけ

A【第2のグル―プ】(コアラの解剖学的特徴、つまりどうしてコアラにしっぽがないのだろうか?

について語っている

動物たちは、コアラが旱魃のあいだ少しも喉が渇いた様子がないのに気つ゛いた。みんなはコアラが水

が湧き出るところを密かに知っていて誰にも教えないのだと疑う。当時はコアラにもしっぽがあった

ある日、コアラが木にさかさまにぶら下がって、幹の洞穴から水を飲んでいるところをコトドリに見つかって

しまう。コトドリは水面までくちばしが届かなかったので木に火をつけた。水は流れ出て池となり動物達

はみなそろって渇きを癒した。けれども火は傷跡を残した。コトドリは羽をコアラはしっぽがすっかり

焼け落ちてしまった。

旱魃のときの話、キノボリカンガル―はむかし母親が子供の命を救う為に水を探しに行ったのを

思いだし、コアラと一緒にその場所を探しに出かける。長い事探してとうとう干からびた小川にやって

来た。地下の水を湧き出させる為には川床を掘らなければならない。ところがコアラは疲れていたので

キノボリカンガル―は自分が最初に掘っても良いといった。ところがコアラの番になってみる

と、コアラはしっぽをだらしなく顔の上に乗せて木の上眠りこけている。キノボリカンガル-はいらいら

したが、仲間を起こす勇気がなかったのでそのまま働き続けた。

キノボリカンガル―がいつ戻って来ても、コアラは眠っているか、口先で『割り当ての仕事をやらなくて

ごめん』と言うだけだった.『水を見つける権利はなんといってもあんたのもんだからね』とコアラは

言い足した。『あんたが掘っているあいだにおれは食べ物をめっけてくるから』とうとうキノボリカンガル-

は水を掘り当て、喜びの声を上げた。『水だ』という叫び声を聞くと、食べ物など探さないで木の陰に

隠れていた、ずるいコアラは、キノボリカンガル―のそばを駆け抜けて、頭からざぶんとばかり水に

飛びこんだ。これにはさすがのキノボリカンガル―も頭にきた。

水から突き出しているのはコアラのしっぽだけ、そこでキノボリカンガル―は顔を伸ばして、歯でその

しっぽを噛み切ってしまった。そういうわけでいまのコアラにはしっぽがないのだ。

上記の話と似た話が『わたしコアラです』という本の中で『コアラ民話』として書かれています

昔々、日照りが続いて川の水が枯れ果てた。「もう死にそうだ。どうしよう」とコアラがカンガル―に泣き

ついた。カンガル―は「小さい頃、お母さんが土を掘れば水が出ることを教えてくれた。二人でやって

みよう」といった。しかし、コアラは「面倒くさいや」と昼寝ばかり、仕方なく、カンガル―は何日も何日も

穴を掘り続け、やっと水を探し当てた。「水があったぞ」の声にハッと目を覚ましたコアラ

は、穴に飛び込み、カンガル―を押しのけて自分だけで水を飲んでしまった怒ったカンガル―は

地上からコアラめがけて、鋭い石をドス―ン。その途端、コアラのしっぽは切れてしまったとさ

●下記の話は、クィンズランドで死をまちかにしたアボリジニナルの

老人から聞きとったお話です。以下の話は、部族の祖先達が干からびて

ごつごつした峡谷に住みついてからどのようにして自分たちの暮らしを

立てていったかを語っています。

【コアラ男のダイダニ】

その頃は、木というものが無く、暑さも非常に厳しかった。-祖先たちは集ってどうしたらよいか思案

した。一人の老人が空の種を地上に叩き落とさなければならないと言った。そこでみんなが

かわるがわる大きな戦士用のブ-メランを持って進み出て、空をめがけて力の限り投げ上げた

しかし、なにも起こらない。そこへダイダニというコアラ男が進み出た。ダイダニは仲間内でも

一番発達した。力強い肩の筋肉を持っていた(コアラの肩の筋肉は強力)。

彼がブ―メランを投げると、高く舞い上がって空の向こうに消えていった。すると、空から種が

降ってくるではないか。種は地面に根を下ろし、木やその他の植物が伸びて峡谷の生き物達の

食物になり、寒さや暑さをしのぐ場所になった。今、勿論普通のユ―カリの木はコアラ専用の住まいだ

これはコアラ男ダイダニが『夢幻時代』(アボリジニナルの太古時代)にはたした英雄的な行いに対して

贈られた褒美なのだろう

●以上アボリジニナルの民話・神話に登場するコアラは、【コアラ男のダイダニ】以外は

『ずるくて』『怠け者で』悪い動物に描かれています。一方、オ―ストラリアの白人文学に

おけるコアラはどうだったのでしょうか?コアラを作品に使った作家の中で著名な人物

としては、『ノ―マン・リンゼイ』(1879〜1969)(作家、画家)の名を挙げることができま

す。リンゼイの主人公コアラ、『バニック・ブル―ガム』は二十世紀初頭の

オ―ストラリアの知識人という訳だったのです。彼の原型『ビリ―・ブル―ガム』が始めに

お目見えしたのは1904年、文化ナショナリズムを標榜する週刊誌『ブレティン』の風刺

漫画で男の子が質屋に行って他のものはみんな質入れしてしまったから、ペットの

コアラで金を貸してくれという話だった。それまで、コアラの『ビリ―・ブル―ガム』は

オ―ストラリア人の姿を借りて政治、芸術、競馬に首を突っ込み、雌コアラに求婚して

子供を育て、2つの世界大戦にも従軍した。ビリ―ブル―ガムを通してリンゼイは、

オ―ストラリアの生活におけるさまざまな、敵を攻撃した。例えば画家が裸婦を描くのを

非難する『堅物』、もったいぶった政治家や牧師などリンゼイは時には人種差別主義的

だったり、盲目的愛国主義者でもありました。

『バニック・ブル―ガム』は1918年『まほうのブディング』(The Magic Pudding,邦訳

講談社)と言う本で始めて登場しました。以来、オ―ストラリアの子供の本棚から

その姿が消えたことはありません

 

『コアラの本(恥ずかしがりやの人気者)』

著:ウォルタ―・ハミルトン 写真:へミッシュ・マクドナル 出版社:サイマル出版会

『わたしコアラです』出版社:中日出版社

より抜粋

 

 

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