覇権をめぐる列強の野望 北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』を読む。
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現在の世界情勢を読むのに良い参考となる情報です。 アメリカが日本を捨てる日と云うことが云われていますが、日本がアメリカを捨てる日も考えておくことが必要かもしれません。 日本もアメリカも揃いも揃って、政府は“ど赤字"です。 破産状態というのに世界でのさばっているのも不思議なものです。
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覇権をめぐる列強の野望 北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』を読む。 http://www.asyura2.com/0502/war67/msg/218.html 投稿者 てんさい(い) 日時 2005 年 2 月 13 日 00:17:14: KqrEdYmDwf7cM ■■ Japan On the Globe(382)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■ The Globe Now: 覇権をめぐる列強の野望 北野幸伯『ボロボロになった覇権国家 (アメリカ)』を読む。
■■■■ H17.02.13 ■■ 33,192 Copies ■■ 1,477,345 Views■
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![]() ■1.ロシア・プーチン政権ブレーンの上機嫌■ 2003年3月18日、北野幸伯(よしのり)氏は、ロシア・プ ーチン政権の政策を立案する専門家グループの代表Z氏と会談 した。それはちょうど、アメリカがフセイン大統領に対して 「最後通告」を出した直後だった。 ロシアとフランスはアメリカがイラク攻撃を安保理に提案し たら、拒否権を行使すると明言していた。そこでアメリカは安 保理決議を諦め、国連抜きでの攻撃を決めたのだった。 ロシアの反対はアメリカに無視されたのに、意外なことに、 Z氏は大変機嫌が良かった。国際情勢はロシアの思惑どおり動 いている、というのである。まず、アメリカは国連安保理の承 認なしにイラク攻撃に踏み切ったことで、世界公認の「悪の帝 国」となった。これはロシアとフランスが拒否権行使を明言し ていたからで、ロシア外交の大きな成果である、と言う。 さらにZ氏は驚くべき事を語った。アメリカとイラクの戦争 は、これから長く続く戦争時代の一エピソードに過ぎない。ロ シアはこれから、ゆっくりと時間をかけてアメリカを崩壊させ ていく。北野氏は、Z氏が上機嫌である理由が分かった。 ■2.ロシア政治エリートのための教育を受けて■ 北野氏は1990年にゴルバチョフ大統領にあこがれてモスクワ に留学した。ゴルバチョフはソ連末期にペレストロイカ(政治 経済改革)やグラスノスチ(情報公開)を主導し、結果的には ソ連の共産主義体制を崩壊に導いた、最後の「共産党書記長」 である。 北野氏が学んだのは、ソ連(後にロシア)外務省付属のモス クワ国際関係大学。卒業生の半分は外交官に、半分はKGB (政治警察)に、と言われるエリート大学で、日本人がここに 留学するのは初めてだと言う。ここで政治学修士を取得した。 ここに学ぶ学生はまさにエリート階級で、「ロシアの国益と は何か」を考えている。彼らを通じて、パワーポリティックス に長けたロシアの外交官やKGBが何を考えているのか、知る ことができた。 留学中の1991年、ソ連邦という「国家が滅びる」のを目撃。 その後、年率2600%というハイパーインフレ、クーデター、第 一次チェチェン戦争、チェチェン独立派によるテロ、金融危機 などの動乱期を体験した。 氏は、現在、日本企業のロシア進出を支援するコンサルティ ング会社を運営するとともに、「ロシア政治経済ジャーナル」 というメールマガジンを発信している[1]。その論説の切れ味 には弊誌も着目していたのだが、それは氏のモスクワ国際関係 大学での研究と、ソ連崩壊の実体験、さらにプーチン政権のブ レーンたちとの交流から生まれてきているようだ。 特にプーチン政権のブレーンたちは、国家機密は教えてくれ ないが、様々な会話を通じて、国際情勢の見方、考え方を教え てくれたという。前節の会話はその一例だが、同じイラク戦争 の情報でも、北野氏の解説を読むとまるで違った様相が見えて くるのは、政治エリート層の「個人教授」によるものだろう。 ■3.各国の思惑と利害のぶつかり合いを目の当たりに■ その北野氏が本を出した。「ボロボロになった覇権国家(ア メリカ)」という題で、今、大手書店でも売り切れ続出の話題 となっている[2]。快調なテンポの語り口で、国際政治での各 国の思惑と利害のぶつかり合いを目の当たりに見せてくれる。 特に1991年のソ連の崩壊以降の分析が面白い。 アメリカを心底恐怖させた国ソ連は消滅しました。この 時、アメリカ政府は、今後のロシアをどのようにしたらい いだろうかと考えました。 心優しい日本人であれば、「経済危機に陥っているロシ アに支援を送る」とかなんとか善意に基づいた行動をとる でしょう。 しかし、「普通の国」アメリカはもちろんそのようなこ とは考えない。これは当然、「ロシアが二度とアメリカに 反抗できないよう、この国を破壊し尽くそう」と考えた。 [2,p162] アメリカは国際通貨基金(IMF)を通して、ロシアに「改 革のやり方」を伝授した。[a] まず「政府による経済管理の廃止」。貿易が自由化され、西 側の優れた製品がロシア市場になだれ込み、ロシアの国内産業 は壊滅した。 次に「価格の全面自由化」。国内産業が駆逐され、輸入に頼 るしかない状況で、ロシアの通貨ルーブルは急落し、国内はハ イパーインフレーションに見舞われた。改革がスタートした92 年のインフレ率はなんと2600%、GDP成長率はマイナス14.5 %。ロシア経済はアメリカの思惑通り破綻した。 さらに大規模な「民営化」。国有財産はそれを今、手元に持 つ人の所有となった。アパートの住人は、アパートの所有者と なった。そして国有石油会社のトップは、その会社をほとんど 無料で手に入れた。ここから生まれた新興財閥はエリツィン政 権に賄賂を送って、税金をほとんど免除してもらった。当然、 国家財政は大幅な赤字に転落した。 ■4.ロシアの復活■ アメリカの戦略は奏功して、ロシアは90年代を通じて、ほ とんどの年にマイナス成長を続けた。ところが98年にKGB出 身のプリマコフが首相となって金融危機を克服。翌年、これま たKGB派閥のプーチンが首相に就任した年には、いきなり 5.4%のプラス成長に転じ、大統領となった2000年にはなんと 9%の高成長を記録した。その後も4〜7%のプラス成長を続 けている。 その理由の第一はルーブル切り下げの効果である。ルーブル の価値は、98年の金融危機以前に対して4分の一以下となり、 輸入品の値段が高騰して、国民は仕方なく「安かろう悪かろう」 の国産品を買うようになった。同時に輸出が急増した。これに より一度は市場開放で壊滅状態に陥った国内産業が息を吹き返 した。 第二は原油価格の高騰である。世界最大の原油供給地・中東 の情勢不安定、中国の石油需要急増により、原油が値上がりし、 石油大国ロシアの輸出収入が増大した。 こうした環境の変化に上手く対応した政策も奏功した。まず ロシア政府は石油会社が原油輸出で得た外貨の75%をルーブ ルに換えることを義務づけた。これによりルーブルのさらなる 下落が食い止められた。 同時に、今まで税金逃れをしていた新興財閥から税金を取り 立てるようになった。これでロシア国家財政も黒字に転換した。 ■5.「他国の争いを支援する国は繁栄する」■ こうしたソ連の崩壊とロシアの経済破綻を通じて、プーチン 政権下のKGB軍団は、以下の事を学んだという。 第一に「争ってはいけない。戦争は国を疲弊させる」 かつ て世界の中心だった欧州諸国は、第一次、第二次大戦を通じて 没落した。後から参戦したアメリカとソ連は漁夫の利を得たが、 両者間の冷戦を通じて、ソ連は崩壊し、アメリカ経済は破綻の 瀬戸際まで行った。 これだけなら一国平和主義の日本人も賛成するが、ロシアの トップはさらにその先を考える。 「他国の争いを支援する国は繁栄する」 アメリカが覇権国家として台頭したのは、第一次大戦で自分 はほとんど戦わずに欧州を支援して経済的覇権を奪い、第二次 大戦でも遅れて参戦した。繁栄するのは「戦争をする国」では なく、それを支援する国である。 この二つを前提として、ロシアは次の戦略を立てた。それは アメリカと争う中東イスラム諸国には武器を、中国には武器と 石油を、欧州には石油とガスを売って、アメリカと争わせつつ、 自らは儲けいていく。それによって、現在のアメリカ一極体制 を崩壊させ、多極世界を構築して、ロシアがその一極になるこ とを目標とする。 冒頭で、北野氏が会談したプーチン政権高官の「国際情勢は、 ロシアの思惑どおり動いている」というのは、まさしくこの戦 略通りに事が進んでいる、ということなのである。 ■6.ロシアとフセイン■ イラクは原油埋蔵量で世界第二位。イラク戦争に至ったアメ リカの目的の一つは、ここに傀儡政権を打ち立てて、その石油 権益を独占することだった。ロシアは02年7月頃まで「アメリ カとの協議により、フセイン後の石油利権を獲得する」ことを 目指してきた。 しかし、02年8月頃から状況が変化してきた。まずアメリカ が「イラクの石油権益を他国と分かつ意思はない」と明確に示 すようになったこと。同時にフセインがロシア政府に「アメリ カの攻撃を止めてくれたら、総額400億ドルの石油・ガス ・交通・通信などの幅広い分野での協力契約を締結する」と提 案してきたことだ。 以後、ロシアは同じ立場の国々、すなわちイラクに石油権益 があり、安保理の常任理事国であるフランス、中国とともに 「アメリカのイラク攻撃を止めさせ、その見返りに石油権益を 確保する」ことを目指した。その外交努力を評価して、イラク は03年1月には、ロシア石油会社4社に油田開発事業権を与え る契約を結んだ。 しかし、アメリカはロシア、フランス、中国の反対を押し切っ て、国連安保理の承認を得ないまま、イラク攻撃に踏み切った。 これでロシアはすでに得た油田開発事業権を失い、また80億 ドルのフセイン政権への債権も放棄せざるを得なくなった。そ れでも、アメリカを泥沼の戦争に追い込んで、一極体制を崩壊 させようという大目標には一歩近づいたことになる。 ■7.「シラクがイラク戦争を起こした」■ ロシアは、経済面でもアメリカを追いつめようとしている。 この面でのアメリカの一極支配はすでに崩壊寸前なのである。 アメリカは世界一の財政赤字と貿易赤字を持つ国だからだ。 米財務省の04年10月の発表によれば、米政府の借金は約7 兆4千億ドル(800兆円)、そのうち2.5兆ドル以上が対 外債務である。貿易赤字は03年通期で約5千億ドル(54兆円)。 毎月平均で4.5兆円ものドルが国外に流出していったことに なる。 アメリカが通常の国だったら、とっくの昔にドルは大暴落し、 財政は破綻していただろう。それが起きないのは、ドルが国際 貿易の基軸通貨であり、ドル紙幣さえ印刷していれば、他国か らモノを買えるからである。したがって、たとえばユーロがも う一つの基軸通貨となり、「もうドルは受け取らない。貿易代 金はユーロで払ってくれ」という国が増えたら、アメリカは一 気に破産状態に追い込まれる。アメリカを「ボロボロになった 覇権国家」と北野氏が呼ぶのは、このためだ。 2000年9月に、イラクのフセインは「石油代金として、今後 一切ドルを受け取らない」と宣言した。ユーロを決済通貨とす るというのである。当時、イラクは国連を通じてしか石油を売 れなかったが、その国連は「イラクの意向を受け入れる」と発 表した。 フセインはこの時、アメリカという虎の尻尾を踏んでしまっ たのである。これがイラク戦争の遠因となった。しかもこのフ セインの宣言には、石油ドル体制を崩そうとするフランス・シ ラク大統領が後ろ盾になっていた。「シラクがイラク戦争を起 こした」と言えなくもない、というのが北野氏の見方である。 ■8.独仏露のアメリカ一極体制への挑戦■ フランスはドイツとともに「ヨーロッパ合衆国」を建設し、 アメリカ一極体制崩壊を目論んでいる。 そのために通貨統合に よってユーロを創設し、基軸通貨の地位を奪おうとしている。 アメリカの一極体制を終わらせようという点で、ロシアと独 仏は利害を同じくしている。 プーチンは03年10月ドイツ首脳 との会談の席で、「私たちは、ロシア産原油輸出をユーロ建て にする可能性を排除していない」と発言。 数日後、モスクワを 訪れたドイセンバーグ欧州中央銀行(ECB)総裁は、「ロシ アがユーロで石油を売るのは理にかなっているかもしれない」 という声明を発表した。 石油大国ロシアの貿易相手の最大はEUで51%以上。 それ に対して、アメリカは5%以下。 ロシア−EU間の貿易で、な ぜドルを使わねばならないのか。 ユーロ建てにするのは確かに 「理にかなっている」のである。 ■9.アメリカ幕府の天領「日本」から脱却するには■ 実はドルの暴落を防いでいる防波堤がもう一つある。 日本が アメリカ国債をせっせと買い支えていることだ。 日本は中国や 北朝鮮などの軍事的脅威をアメリカの軍事力で守って貰い、そ の代償としてドルを買い支えている[b]。 だから北野氏は日本 がアメリカ幕府の「天領」、すなわち直轄地であるという。 アメリカ幕府のもとで平和に慣れた日本人は、その天下とそ れによる平和が永久に続くと考えている。 だから、独仏露中が アメリカの一極体制に挑戦しているなどという事には考え及ば ない。 しかし日本はいつまでもアメリカの天領でいるのか。 アメリ カ一極体制が崩壊したら、一緒に没落するのか。 それとも新し い覇権国の天領となるのか。 真の独立への道はないのか。 これは日本人一人一人が考えていくべき問題であろう。 その ためにも我々は国際政治の冷厳な覇権争いの実態を見抜く力を もっと身につけなければならない。 この点で北野氏のような眼 力を持つ論者の登場を歓迎したい。 (文責:伊勢雅臣) ■リンク■ a. JOG(280) 世界を不幸にするIMF 諸国民の富を使って「市場原理主義」を押しつけ、失敗して も責任を問われない不思議な国際機関。 http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h15/jog280.html b. JOG(078) 戦略なきマネー敗戦 日本のバブルはアメリカの貿易赤字補填・ドル防衛から起き た。 http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_1/jog078.htm l ■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け) →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。 1. メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」 http://www.mag2.com/m/0000012950.htm
2. 北野幸伯「ボロボロになった覇権国家(アメリカ)」★★★、
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