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韓国の昔話 18話
白頭山―天池の神話
山は高く大地は広く水は清らかく豊富で人間ももろもろの動植物も皆が豊かに安らか
な所がありました。 其処が白頭山一帯の村村でした。
しかし好事魔多しとか,この平和な村に天変地異が起きて廃墟に化して行きました。
それは天にも善い神も悪い魔物も有ったからです。 意地の悪い黒龍が火の剣を振るっ
て白頭山一帯の水源を絶ち雲を追い払い樹木を枯らし大地にはひび割れを生ぜしめ命
有る者が生を営み得ない土地に変えたからです。
人々は姓を白と称する豪傑を先頭に地下水の水脈を探して旱と戦いました。 鍬やシャ
ベルなどあらゆる道具を使って必死の努力で水源を開きました。 滾々と水が湧きいで
人々は歓声を挙げて喜びました。 それも束の間,空が黒い雲に覆われたかと思うと物
凄い雷と稲妻が生じ山を崩して折角掘った水源を埋めてしまいました。
『あぁ,意地の悪い黒龍に歯向かっても無駄だよ』
『人間の力では叶わない。』
『もうここでは暮らせない。』
『よそに行くしかないよ。 』
独り岩に腰を下ろして黙々と
人々の話しを聞いていた体の大きい男が立ち上がり
『口惜しい』
と叫びながらその岩を足先で蹴ったら岩がゴムマリのように吹っ飛びまし
た。
人々は彼の前に集まりました。
『白壮士様,私らの為に随分とご苦労をなさいましたが天の黒龍の暴行には如何とも
仕方が御座いません。 私等は他の地方に移る積もりで御座います。』
『私がこんなに不甲斐ないとは情けないことです。』
『皆さんの助けにならなくて済みま
せん,どうぞ良い所にいって幸福に暮らしてください。 』
と涙ながらに答えました。
註 壮士(チャンサ)は力士と似たような言葉)
人々が去った後の村の真ん中の地べたに座り頭を抱えて悩んでいる白壮士の前に美し
い仙女が現れました。
『仙女様は如何してこんな荒れ果てた
所においでなされましたか。』
白壮士は丁寧にお辞儀をして申しました
『私は玉皇上帝のお側に仕えるものですが
貴方が黒龍と立ち向かい住民のために水源
を求めて努めているのに天上でも感動して
いますが惜しいことにも未だ貴方には黒龍
を打ち負かす力が足りません』
『帝の思し召しで貴方が力を得る方法を教えて上げるため
に参りました。』
『貴方が黒龍に打ち勝つ力を得るには白頭山の谷間にある「玉長泉」の
水を100日間飲まねばなりません』
『それを教えて上げるのが私の任務です。』
『有り難う御座います。』
『それでは私めに「玉長泉」の在り処を教えて頂きとう御座い
ます。』
『私がご案内致します。』
『参りましょう。 』
白壮士は明るい気持ちで仙女に従い白頭山を登りました。
仙女は見かけは弱々しかっ
たが急な坂も平地の如く登り数間を離れた崖間もひらりと
軽く飛び越えるのでした。
白壮士は仙女の超能力に感嘆しながら遅れまいと一生懸命附いて行きました。
どの辺なのか,方角さえもわからぬまま三日間を歩き続けました。 深い谷間,千尋の絶壁が
前を遮る所で足を停めたのです。 崖の下には小さな泉があって岩のくぼみに清い水を
溜めていました。
『この泉が「玉長泉」です』
『貴方はこの水を100日間飲むのです』
『私は100日後お迎え
に参ります』
『頑張りなさい』
と一言残して仙女は飄然と去って行きました。
白壮士は池べたに伏して泉の水を腹いっぱい飲みました。 その横手に小さい幕を張り
毎日泉の水を飲めるだけ飲みながら体を鍛錬して行ったのです。 白壮士は驚くほど力
が強くなり大きな岩も一打ちで粉にしたり千年巨木も一跳びで飛び越えるようになり
ました。
100日目の日約束通り仙女が来ました。
『ご苦労様でした。』
『早速ですが水源を掘りに行きましょう。』
『はい, 仙女様。』
二人は白頭山の頂上に行きました。
白壮士はものすごく大きなシャベルで土を掘って投げました。 それが遥か向こうに飛
んで一つの山を作りました。 四方八方に投げて16の峰を作りました。
其処には大きな穴があき滾々と水が湧き上がって来ました。
白壮士と仙女は嬉しいあまり抱き合ってひとしきりぐるぐる回りました。
ハット我に返った白壮士は急いで離れ『無礼を致しました。 お許し下さい。 』と丁重
に謝りました。
『私こそ失礼を。ホホ』
と顔を染めます。
その間に池には満々と水が溜まりました。
白頭山の天池と,天池をとりまく16峰はこの時出来たのです。
俄かに黒雲が天を覆いました。
東海の竜王の娘にセクハラをして弄んでいた黒龍が白頭山頂に大きな池が出来たとの
話しを聞き大怒りで急ぎ飛んできたのです。
『どの野郎が勝手に水源を開いたのか?』
『とっとと出て来で俺の剣を受けろ。』
と火の剣を振り回して暴れだし山全体が地震に逢ったように揺らぎました。
白壮士は白雲に乗って萬斤の刀を構え雄雄しく立ち向かいました。
それこそ竜虎相搏つ,天地を揺るがす大闘争です。 黒龍の火の剣は火を吹き萬斤の刀
からは白光を放ち,一進一退勝負がつきません。 離れてみていた仙女は黒龍に向かっ
て短剣を立て続けに投げました。 是は尋常な相手ではないわいと黒龍が思っていた矢
先,短剣まで飛んでくるので慌てました。 黒龍がひるんだ一瞬の隙を逃がさず白壮士
は萬斤の刀で黒龍の火の剣を打ち下ろしました。 かっちゃんと火の剣が折れて地面に
落ちました。 こうなってはもうかないません黒龍は命がらがら尻尾を巻いて逃げて行
きました。
戦いは終わり空は澄み風は涼しい中,天池の水は太陽の光を眩しく反射していまし
た。
白壮士と仙女は黒龍が再び現れ天池を壊すのに備え天池の深い所に「水晶宮」を建て
て睦ましく暮らしたそうです。
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