▼「短期戦が必要」は「戦争なし」と同じ
イラクに侵攻しない場合、
アメリカはどうやって振り上げた拳をおろすのか。
ペルシャ湾岸には、すでにかなりの兵力が結集していると
報じられている。
9・11後の米政府は「情報戦略」として
ウソの情報を平気でマスコミに流し、アメリカや日本のマスコミは、
ウソと気づかぬふりをして「大本営発表」を大々的に
報じ続けているので、
ペルシャ湾岸に大兵力が結集しているというの
もウソかもしれない。
だが、兵力結集が「話」だけだったとしても、その話を
「撤退」という話に切り替えない限り、
戦争の「話」を終わりにできない。
もし米軍が何もせずに撤退したら、
サダム・フセイン大統領は「勝利宣言」し、
反米意識が高まっているアラブやイスラム世界全体から
「反米の英雄」と持ち上げられ、
ますますアメリカの言うことを聞かなくなる可能性が大きい。
そうなることは、米国内ではハト派でさえも
望んでいないだろう。
イラクにいる間に私は、
米軍が侵攻した場合にイラクの一般国民が戦闘にどのくらい
参加するか、という疑問も持った。
表向きは市民は皆
「最後まで戦う」「政府が壊滅しても戦う」
などと言っていたが、本心は違っていて、イラクの
人々はもっと実利的な国民性ではないかと思われた。
つまり、フセイン政権よりアメリカの方がイラクを
良くしてくれると思われたら、米軍が侵攻してきて
も一般市民は戦わず、軍隊だけがわずかに抵抗し
「無血開城」に近い結末となる可能性がありそうだった。
(バクダッド駐在の日本外務省の方がその可能性
を指摘し、私はその仮説に理があると感じた)
私は月刊誌「Voice」の3月号(発売中)に
「乗っ取られたイラク戦争」
という原稿を書いた。
イラクに行く前にいったん書き上げたのだが、その論調は
「イラク侵攻の可能性は低い」
というトーンだった。
だが「無血開城」の可 能性を考え、
1月21日にイラクから帰国した直後、最終原稿を
「侵攻したとしても短期戦で終わる」
という論調に改めた。
その後、アメリカがイラク侵攻するかどうかをめぐり、
私の予測は揺れ続けた。
私は日刊と週刊で合計30ほどの英語などのネット上のニュースサイトを
欠かさずウォッチしており、
そこで得た「あれ?」と思う情報をニュース解説
のベースとしている。
9・11事件後、米政府が全力で米内外のマスコミの
大政翼賛化を押し進めた結果、
内外のマスコミは米政府の意図に沿った報道をするようになっている。
イラクをめぐる最近の日米のマスコミのほとんどが
「開戦は近い」という論調になっているのも、
米政府の意に沿ったものであると思われる。
だが「開戦は近い」と言うだけでは
「湾岸戦争以来、米政府はずっとフセイン政権を実は
温存してきたのに、なぜそれが変質するのか」
という疑問に答えていないので、
私の目にはプロパガンダの塊としか見えない。
(米政権がフセイン政権を温存してきたという
見解については拙著
「イラクとパレスチナアメリカの戦略」
を参照)
その一方で、私が「あれ?」と思ったのは
「アメリカは短期戦しか許されて
いない状況だ」
という、私がイラク滞在中に思ったことと同じ論調が、
英米のいくつかのメディアに出ていたことだった。
「だるま落とし」のように、フセイン政権の上部だけを
短期間で吹き飛ばす戦争、もしくは戦争は不可避だとフ
セイン大統領に思わせて亡命させる、
ということなら混乱を中東全域に広げず、
アメリカは中道派の戦略を変えないですむ。
Bush needs to win without a war
http://www.iht.com/articles/85025.htm
Short sharp war 'would lift economy'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/2697195.stm
Gulf war II to be much quicker
http://www.washtimes.com/world/20030129-38329037.htm
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